KEYENCE

商品開発

Product Development

キーエンスの
エンジニアは、
どう挑んだのか。

画像センサIV 編

アプリセンサ事業部
名越 敬祐

序章今の画像センサを否定することから始まった。

当時は、汎用の画像センサの販売競争が激さを増していった時代。あえてその市場に乗り込むことに決めたキーエンス。しかも最後発だ。名越は考えた。競合製品が山ほどあるその市場で、どうすれば抜きんでることができるのか。現場を見ると、画像処理装置は製造の検査に絶対必要なモノである一方、使いこなせていない人が少なからずいる。意外と扱いが難しいのだ。もっと使いやすく、苦手な人でも「使ってみたい」と思ってもらえるようなカタチにすれば、きっと製造現場のありようを変えることができる。そこに気づいた名越が目指したのは、「脱・画像処理装置」。つまり、これまでの当たり前からの脱出。ハードウェア、機構、光学、ソフトウェア、アルゴリズム、GUI・・・と大規模な開発チームでありながら、プロジェクトメンバーもあえて「画像処理装置はやったことがない」エンジニアを集めた。これまでの常識にとらわれない自由な発想がほしかったことはもちろん、開発者もユーザーと同じ目線で考えてもらいたかったからだ。

第一章訪問件数、1日5社以上。世界中を駆け巡る。

「現場を見よ、現場に聞け」。それがキーエンスのモットー。代理店を通して販売を行うのでなく、直接企業と取引するキーエンスは、ダイレクトにユーザーに接触することができる。名越は国内海外の両方のニーズをつかむため、チームのメンバーとともに世界中を回り、1日5社以上の訪問を1か月以上続けた。単なる聞き取り調査だけでなく、時にはさまざまな国のユーザーの方々と議論を重ねた。本当は何をやりたいのか?どんなところに困っているのか?現場と同じ目線で向き合い、コンセプトをどんどん肉付けしていった。

第二章開発難度は上がる。それでもつくらねばならない。

そうして名越はひとつの確信を得る。流通しているほぼすべての画像センサが現場ニーズから大きく乖離。製品の多機能さのせいで、煩わしい“装置”になってしまっているのだ。それゆえに現場が求めているのは、センサの取り付けや操作における使い勝手の良さ。たとえば、どんな環境でも抜群に安定する検出アルゴリズム。また、ユーザーが設定しなければいけない項目は極力減らし、その分、自動で最適な設定を行うこと。さらには、それらのインターフェースを取り扱い初心者にもフレンドリーでわかりやすいものにすること。だが、言うは易し。高度な技術を内側に隠し持ちながら、カンタンにすることは生半可な設計ではできない。開発難度もかなり上がるだろう。それでも、それを実現できれば、市場にこれまでにないインパクトを与えることができる!

第三章徹底的にユーザーになりきる。

エンジニアなら誰もがすぐれた機能をたくさん盛り込みたいという性向がある。しかし、今回のプロジェクトは現場に合わせたプロダクト。いわゆるマーケットイン型。そのために名越は気持ちが走り気味のエンジニアたちの思いを抑え、徹底的に現場で使うユーザー目線にこだわった。出会ったユーザーの方のことを思い浮かべながら、「あのユーザーは、その機能を喜んでくれるのか?」、「あの人は、迷わずその機能を使いこなしてくれるのか?」。チーム全員で機能一つひとつに厳しく問いかけ、どこまでもどこまでもこだわった。

終章勝利の瞬間とモノづくりの満足感。

名越たちはコンセプトを見失うことなく開発を続け、画像センサの激戦区へ新製品を投入。果たして市場は動くのか。結果、渾身の新製品はプロジェクトメンバーの予想を超えたビッグヒットとなり、ハイスペックな競合製品たちを打倒していった。名越の読みは、急速に伸びていく売り上げによって裏付けられた。特に海外での売り上げが目覚ましく、多くのユーザーたちが感嘆の声を上げた。さらに最近バージョンアップした機種には1年以上かけて新開発したAIアルゴリズムを搭載。コンセプトにさらに磨きをかけ、再び世界のユーザーを驚嘆させた。キーエンスにとって最新や最高の技術であることは当たり前のこと。重要なのは、世の中にとって“新しい”ではなく、ユーザーにとって何が必要かを追求し、それを最高のカタチでお届けする。そんな製品をつくろう。それが名越たちをはじめ社員全員が共有する「キーエンスらしさ」なのだ。