KEYENCE

商品開発

Product Development

キーエンスの
エンジニアは、
どう挑んだのか。

3D形状測定機 編

マイクロスコープ事業部
廣瀬 健一郎

序章やってきたのは、成長するチャンス。

入社4年目で巡ってきたのは、3D形状測定機の性能を最大まで高めていく「かじ取り役」のような役割。そのプロジェクトのメンバーは、廣瀬より経験も知識も豊富な百戦錬磨の先輩エンジニアたち。しかも課せられた命題は、数ある測定機の中で、確実に選ばれるオンリーワンの個性を持つ新製品。そんな製品を自分がリーダー的な立ち位置に立ってチームもスケジュールも量産化計画もとりまとめなければならない。いや、もっと言えば、より高い次元の製品を生みだすために、チームを引っ張っていかなければならない。「やってやるぞ」という気概と「やれるのか」という不安。そんな気持ちが交錯する中で、廣瀬の挑戦はスタートした。

第一章エンジニアの成長のひとつのカタチ。

めざすは、既存製品の能力を超越した性能と個性を持つ3D画像測定機。「こんなもの、できるわけがない」と世界が思っているものをつくれば、市場で大きな反響を呼ぶに違いない。まず、ベースの考え方として「対象に光を当てその反射の様子からモノの形状を測定する」原理で行くことに決まった。ただ、そこからが長い道のりがある。測定機を構成するのは、光源・レンズ・シャーシ・カメラ・信号処理・演算処理などといった数多くのパーツと技術。それらをつくるエンジニアたちの“仕事”内容を俯瞰して見ていかなければならない。誰が、今、何に取り組み、「進捗はどうなのか」、「行き詰っていないか」、「穴はないのか」。どの“ピース”が欠けても、目指す到達点にはたどり着かない。まず、各自の状況を廣瀬が把握する。把握するためには、あらゆる技術に精通し、それぞれの技術者と対等に議論できるだけの知識を身につけなければならない。また、それは、設計完了後の製造についてもそう。量産製造部門、資材調達部門、さらには社外の工場の人たちともスムーズで建設的な話ができるようになるまで、廣瀬はどんどん知識を蓄えていった。

第二章エンジニアたちは、自由に生きる、考える。

その廣瀬を大きくバックアップしたのが、キーエンスの特徴ともいえる開発風土。キーエンスの開発は、社歴や輝かしい実績を持つからと言って、先輩エンジニアに忖度することはあり得ない。誰もがひとりのエンジニアとして時に互いにアドバイスをし合い、時に議論を熱く戦わせる。原理原則が明確でありさえすれば、一年目のエンジニアであっても議論に参加し、卓越した意見やアイディアはどんどん取り入れられる。まさに目の前でモノづくりが加速していく瞬間だ。また、ユーザーの元へ営業と一緒に同行し、自分が開発している製品のリサーチやヒアリングができる。直接触れることで全く違う発想が生まれることもある。その商品は誰のためにつくるのか、何のためにつくるのか。逆から言えば、使っている人の顔も声も聞いたことがないのに、何をつくれるというのか?キーエンスは違う。キーエンスのエンジニアの頭のなかには、どんな時も現場で使う人と同じ目線がある。

第三章いいモノは誰だってワクワクする。

開発は順調に進んだ。試作機ができたときには、噂を聞きつけた別のプロジェクトの開発者たちが「そんな便利なものがあるなら、使わせてほしい」と押し掛けた。全国のキーエンス営業担当を一堂に集めた新商品説明会では、説明の途中にもかかわらずベテランの営業担当のひとりが「この商品はすごい、絶対に世界を驚かせる」とマイクを奪って絶賛するという出来事もあった。事実、速さと正確な測定力を持つだけでなく、これまでの測定機では不可能だった金属や樹脂、ゴムなどにも対応できるようになったのに加え、肉眼ではわからない微細な凹凸までも測れるようになり、これまで無関係と思われていた産業にも導入される可能性までも創り出した。

終章キーエンスにいたからこそ、手に入れた夢。

手ごたえ通り、廣瀬たちの新製品は、市場を大きく動かした。廣瀬たちが手にしたものは、単に売れたことだけではない。製品は2014年に技術革新のアカデミー賞と言われる「R&D 100 Awards」も受賞。これは、アメリカの権威ある工業技術専門誌「R&D」誌が前年に何万と開発された技術や製品の中から、100点を厳選して表彰するもの。市場での実績だけでなく、技術史に残る栄冠を、廣瀬たちは手に入れたのだ。特に廣瀬の場合、キーエンスに入社を決めた最大の理由は、「商品すべてを語れるゼネラリストになりたい」という夢をかなえること。夢はひとつかなった。次の夢もキーエンスのなかにある。