
TALK 1
キーエンスの「商品の強さ」
全員が「課題解決」
を目標にしているから、
付加価値の高い商品が
生まれる。

大野
私が商品開発、磯部さんがマーケティングを担当したインライン3DカメラXTシリーズは、主に工場で生産される製品の品質検査に使用される商品です。発売開始は2019年でしたね。
磯部
そうですね。お客様の生産性や製品の安全性を確保する上で、いかに早く正確に検査できるかは非常に重要です。しかし、カメラでの検査は2次元(XY)を重視すると部品の浮きや表面の凹みが判別できない。逆に3次元(XYZ)での検査を可能にした3Dカメラだと高さ方向の性能を強化する一方で、2次元の検査性能を十分に高めることができず、お客様のニーズを満たすには課題がありました。そこで開発されたのがXTシリーズでした。
大野
XTシリーズは3Dカメラでありながら、2次元の検査でも業界最高峰の能力を実現するために、さまざまな領域の先端技術を投入して開発した商品です。販売価格が高くなったとしても、一台で2次元、3次元のすべての検査ができることが重要だと信念をもって開発に取り組みました。
磯部
その結果、従来の3Dカメラの常識を変える商品ができましたね。
大野
常識に縛られずに、こういった付加価値の高い商品を思い切って開発できるのは、キーエンスの直販体制のおかげですよね。営業担当は代理店を介さず、お客様へ直接コンサルティングをすることで、お客様もまだ気がついていない潜在的な課題やニーズを把握しています。その情報が開発側にもフィードバックされ、商品開発に活かされます。
磯部
お客様の課題を解決するという本質のために、販売サイドからもたくさん「お願い」をさせてもらいました。
大野
その「お願い」が要求としては理解できても、実現のハードルが高い(苦笑)。ただ、納得できる要求ばかりだったので、良い商品を開発しようという力になりましたね。
磯部
2次元方法でも抜群の検査能力を実現するという性能面はもちろん、お客様の現場での使い勝手も今まで以上に考慮に入れて開発してくれました。設備への取り付けや操作が簡単にできるかなど、開発の方が営業同行を多く重ねて現場への理解を深めることで生みだせた付加価値もたくさんあって、とても頼もしかったです。
大野
ありがとうございます(笑)。実現に向けては、光学系+構造+ハードウェア+画像処理アルゴリズムを高いレベルで融合させる必要がありました。また、一枚の3D画像を生成するために、100枚以上の画像を用いて3D演算処理をしています。まず汎用CPUでは求める高速撮像が実現できないため、独自のハードウェアアクセラレータを開発し、超高速撮像を実現したり、さまざまな技術的な挑戦がありました。
磯部
開発の皆さんが惜しみなく頑張ってくれたおかげで、XTシリーズは3Dカメラの中でも最高峰の商品となりましたが、その能力をいかにお客様に伝えるか。またお客様のメリットに直結できる提案ができるか。これが販促・営業担当のミッションです。海外リリースのタイミングでは、すぐにコロナ禍となり、お客様に直接お会いできない中で、どうやって良さを伝えるかが課題でした。遠隔でのデモンストレーションを追求し、良さを確実に伝える工夫をしながらクリアしていきました。
